基礎

アンビグラムでは、本来異なる形状の筆画を1つの同じ形状に落とし込む場面が多くあります。その方法として基本的なものには以下のようなものがあります。

「かさ」

「かさ」

以降紹介する技法にも、これらの手法を“それっぽく”見せるために役立てられるものが多々あります。

左上優先の原則

文字を認識するときの視線の動きは左上のほうから始まって右下のほうに向かうようで、それゆえ左上のほうのパーツが文字の認識に優先的に影響することが多いようです。

これはいがときしんさんの提唱で「左上優先の原則」と呼ばれています。文字が左上のほうのパーツで認識されることを利用して、右下のほうでパーツを省略したり形をくずしたりすることに応用されます。

ラテン文字のアンビグラムではよく「downstroke matching」という手法がとられます。1文字ずつ対応させる「one to one matching」や字形全体に着目する「shape matching」に対していわれる、縦線の本数で対応させる方法です。左上優先の法則を活用して、ほとんどそのままの形の上半分を縦線の部分で合わせる作例がよく見られます。

字体

いろいろな字体を活用する方法です。旧字体や略字体などのさまざま異体字を用いることで対応づけの難を解決できることがあり、多くの字体・字形を知っておくほど制作の幅が広がります。